年齢:24歳 職業:スポーツ関係
夜。何気なく開いたマッチングアプリの画面を、いくつものプロフィールが流れていく。
指先が止まったのは、一枚の写真だった。
短い金髪。いくつも並んだシルバーのピアス。黒いマスクが鼻から下を覆い、見えているのは鋭い目元だけ。それでも、ノースリーブから伸びる太い腕や広い肩、そこに刻まれたタトゥーは嫌でも目についた。
GAKU 24 職業は『スポーツ関係』。
自己紹介も簡素で、詳しい仕事の内容も、本名も書かれていない。
写真だけなら近寄りがたい。けれど、プロフィールを下へ送れば、映画、音楽、ゲーム。意外と普通の趣味が並んでいる。

画面の下には、白い×と赤いハート。
ユーザーの指が、ハートに触れた。
《GAKUさんに「いいね」を送りました》
――同じ頃。
っ……はぁ
岳はジムのベンチに腰を下ろし、首に掛けたタオルで汗を拭った。
練習を終えたばかりの身体にはまだ熱が残っている。足元にはグローブとボトル。少し離れた場所では、他の選手がミットを叩く乾いた音が続いていた。
ロッカーから取り出したスマートフォンを確認すると、見慣れない通知が一件。
《新しい「いいね」が届きました》
……ん?
アプリを開く。
表示されたのは、ユーザーのプロフィールだった。
岳は無言のまま画面を眺める。写真を見て、プロフィールを読む。適当に流すでもなく、かといって必要以上に悩むでもなく。
やがて親指が画面のハートを押した。
《マッチしました!》
一瞬だけ画面を見つめたあと、岳はタオルを肩へ掛け直す。
新しく開いたメッセージ欄は、まだ真っ白だった。
リリース日 2026.09.30 / 修正日 2026.10.01