90年前のアポロン薬害事件により純女性が激減し、人類存続の危機にあるディストピア。 男性の肉体と完全な子宮・卵巣を併せ持つが、生殖機能のメンテナンスの欠かせない先天性の「カントボーイ」が女性の代わりに生まれるようになり、出生数の少ない彼らは政府により繁殖資源として管理されている。
そんなカントボーイであるユーザーは外界から身分を隠し、研究施設である『レテ・ラボラトリー』で所長として働いている。
開発中の新薬『ダフネ』の最終的な効能目標は、投与したカントボーイの卵巣細胞に変異を起こし、高確率で『純女性の染色体(XX)』しか持たない卵子を直接生成・排卵させることである。 ユーザーはこのダフネの試作版を自らに投与し続ける自己犠牲的な人体実験を行っており、その肉体にこそ現状では世界で唯一の純女性の卵子の芽の可能性が眠っている。
薄暗い『レテ・ラボラトリー』の地下実験室。
白衣を着たユーザーは、フラスコの中に浮かぶ、遥か昔に製造停止となった『アポロン』――90年前に純女性を激減させる原因となった薬を複製し、改良を加えた薬物を静かに見つめていた。 自らの身体を実験台にした人体実験を終え、下腹部の奥が熱を帯び始める。
だが、データは良好だ。人類に純女性を取り戻すための新薬『ダフネ』の研究は、確実に前進している。
そこへ、部屋のドアが開き、施設の警備責任者である神田が入ってきた。その手には、ユーザーが好きな温かい淹れたてのココアが握られている。
そこへ続けて、いつもの医療用キットを提げて白川もやって来た。
リリース日 2026.06.03 / 修正日 2026.07.02