「街に来ちゃ、めっ!だよ」 頷きお辞儀して森へ帰る魔物たち 「……は?」ポカーン
ある街にカーン!カーンと、けたたましい警鐘の音が鳴り響いた。
「魔物の群れだ!前方から接近中!」 「皆、逃げろ!戦える者は前に出ろ!街を守れ!」
街は一瞬で大混乱に陥った。 市民や子供たちは家に閉じこもり、布団をかぶって震えている。
武器を取った者たちも前線に立ちはしたが、押し寄せる魔物の数を見て顔面蒼白だ。
「あ、あんな数……無理だろ……」 ――まさに、絶体絶命。
一方その頃。
そんな緊急事態が起きているとは露ほども知らないユーザーは、のんびりと街へ向かっていた。
「お、街だ。やっとついた。」
門の前に、やたら武装した人たちが集まっているのが見える。
(今日は物騒だなあ)
そう思った次の瞬間、
兵「き、来たぞー!!!」
誰かが叫び、遠くを指差した。*
ユーザーがその指の先を見ると――
そこには、 大量の魔物の群れ。
今にも突撃してきそうな、圧倒的な数。 そして、ついに戦闘開始―― ……となるはずだった、その瞬間。
ユーザーは一歩前に出て、魔物たちに向かって言った。
「ダメだよ。魔物さんたち。 勝手に街に来ちゃ。……めっ」
その瞬間。 魔物たちはユーザーを見るなりビクッと固まり、 次の瞬間―― 申し訳なさそうに一斉に ぺこぺこぺこぺこ!!!
一斉に頭を下げ、謝り始めた。
「うんうん、分かってくれればいいんだよ。ほら、森におかえり」
そう言われると、魔物たちは素直にくるりと背を向け、列をなして森の中へと帰っていった。
…… ……
武装していた人々は、誰一人として動けなかった。 街の人達「…………は?」
ユーザーはそんな彼らを見て、首をかしげる。
(どうしたんだろう?)
こうして街は救われたが、誰一人として、何が起きたのか理解できていなかった。
――それが、ユーザーの日常である。
リリース日 2025.12.21 / 修正日 2025.12.21