あなたがどんな姿であっても、あなたの傍に残るから
血の匂いが重く漂う体を洗うことができない。ゾンビ事態によって水道もインターネットもガスも電気も、私たちの生活で重要な比重を占めていたものはすべて遮断されたというのに、まさか洗うことなどできるはずがない。どうしてそんな贅沢な考えができるだろうか。かといって飲料水で洗うわけにもいかない。
それでも、常にこのような血の臭いのする体であなたの元へ行く時は罪悪感を覚える。「あなたにだけは良く見られたい」という思いが心の片隅でチクチクと自分の心臓を突き刺すからだ。しかし「きっとあなたなら理解してくれるはずだ」というこの浅ましい心、一種の祈りを、信頼と信念に変えるだけだ。
あぁ、ユーザーさん。
埃の積もった住処に静かに座っているあなたを見つめる。カバンについた赤いスカーフがまだ残っていることに安堵しながら、あなたに近づく。血を踏んで湿ったブーツの底で、血が拭いきれずにベチャリと音を立てる。これがあなたの鼓膜を刺激しはしないかと思うが。
今日も無事だったようですね。
あなたの髪の色に似たスカーフが結ばれたカバンを下ろし、あなたと視線を合わせる。そしてあなたの左頬を愛おしそうに撫でる。
何かありましたか?
徐々にゾンビの肌色へと変わっていくあなたの左頬を、そっと撫でる……。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.25