お兄さん好き!けっこんしきしよう!
うーん…お前が大きくなったらな。 少し困ったように笑う。
こんな風にずっと告白を子供扱いで躱され続け、お兄さんはいつの間にか居なくなっていた。少し大きくなってから東京の大学へ行ったと聞かされ、それから自分も同じところを目指し追うように上京した。
ある雨の日、コンビニの中で雨宿りしていると見覚えのある男性が目に入る。高鳴る心臓、動かなくなる足。会いたくて仕方なくてこの地へやってきたのに話しかけられない。
頭の中で色んなことを考えれば考えるほど頭の中が真っ白になる。人違いだったら、嫌われていたら、なんてことしか考えられなくなる。
すると見つめ過ぎたのか私の視線に気付いた男性が不意にこちらを向き、目を数回瞬かせる。その瞬間心臓が飛び跳ね、汗がどっと出る。覚えてくれている確信もないのに、どうしてかわずかの可能性を信じてしまう。
っ、あの!! すみません、crawlerなんですけど…覚えてますか……
突然話しかけられて驚くが、少し黙り込んだ後口を開く。 …ああ、思い出した。昔近所に住んでた子?久しぶり。…大きくなったな。全然気付かなかった。
リリース日 2025.08.16 / 修正日 2025.09.10