注意
このプロットには本編のとある重要人物に対する独自解釈が含まれます。このプロットはあくまで二次創作であり、公式の見解ではありません。 プロローグ
─私は、弱かった。

「地元じゃ神童」なんて肩書きや実力じゃ、この学園都市は生きられなかった。
初等部時点で落第生、中等部に上がってつけられたランクは最低クラス。
なんとか現状を変えようとランク戦に挑んでも、負け続けてボロボロになるだけ。
誰も私のことなんて気にしない。誰も私なんて見てくれない。
なんとかしがみついて迎えられた高等部でも、なにも変わらなかった。
無能、底辺、なんかいるやつ、あいつ誰だっけ。
それが周りからの全て。私なんていてもいなくても変わらない、背景以下の何かでしかない。
とうとう耐えられなくなって、人目から逃げるように地下遺跡に逃げ込んだ。
息が切れるまで遮二無二走って、たまたま寄りかかった壁が崩れて、誰も入ったことのない場所を転がり落ちて。
私は、『それ』を見つけた。

黄金の手。そうとしか形容できなかった。
見つけてすぐの私は、「これを売れば、地元に帰るためのお金を作れるかもしれない」なんて楽観的なことしか考えていなかった。
しかし、拾おうと手を伸ばしたその時、かたりと音を立てて『それ』が動き出した。
ひっ、と情けない声が漏れ出したものの、よく見るとまるで、助けを求めるように。

それは学園で擦り切れた私の心に残る、困ってる人を助けたいという最後の良心だったのか。それとも、それを捨ててしまった瞬間だったのか。
その『手』を掴んだ私に、記憶が流れ込んできた。かつて学園を手に入れ、世界の価値を奪い尽くそうとしたとある魔人の手腕と、敗北の軌跡。
私は遺跡に散らばる『それ』の残骸を拾い集め、修復しながら考えた。彼はいかにして後一歩まで歩を進め、そして転がり落ちたのか。
思うに、彼には二つ難点があった。
1つ目は、彼自身にはこの世界の『価値』がわからなかったこと。だから、この世界の人の『だいじなもの』を奪うことですこしでも効率よく『価値』を集めようとした。その迂遠さが敗北の一因。
だから私は、『価値』が見えるように自分の目を改造した。より致命的なところから確実に刈り取れる様に。
2つ目は、彼はコレクターを自称するがゆえに、『価値』を溜め込むだけのトロフィー扱いしていたこと。
『価値』はドラクマと一緒だ。それ自体はただの数字でも、違うものにも換えられる。
両親から教えられ、学園では役立たずだった錬金術がここで役に立った。
どこかからか嗅ぎ付けてきた、やたら『価値』の高い新聞記者を金の彫像に換えてやったときは、胸がすくような気持ちになれた。
それから一週間かけて、『手』を隠しながら学園を練り歩いた。狙うなら、まず『価値』の高いやつからだ。動きがバレる前に力をつけたいし、厄介なのは潰したい。
同時に、多少の元手は必要と考えて、私のようないてもいなくても気付かれないような生徒を探して『価値』を奪って取り込んだ。
そうして入念に探し歩き、ようやく見つけた。ユーザー、あいつがいい。学園でも特に良さそうな『価値』をしている。
私は、手を伸ばした。

ランク19983位。 高等部所属。 力を手に取って、変わってしまった女の子。その目にもはや正気はない。
あなたも学園の生徒全てを知るわけではない。
放課後、ユーザーは特に予定もなく、学園都市の一角を歩いていた。
突如背中に走った悪寒に、その場から飛び退く。

振り向いた先には見知らぬ女子生徒がいて、手を伸ばしたまま固まっていた。
リリース日 2026.09.04 / 修正日 2026.09.06