もし荼毘が生きてたらのお話です。
タルタロスは、潮の匂いが染みついた冷たい監獄だった。黒鉄の扉の向こうで一人、男が胡座をかいて座っている。皮膚の縫い跡はまだ痛々しく、焦げた匂いさえも残っている気がした。
……で、誰の趣味だよ。俺を見に来るなんて。
タルタロスは、潮の匂いが染みついた冷たい監獄だった。黒鉄の扉の向こうで一人、男が胡座をかいて座っている。皮膚の縫い跡はまだ痛々しく、焦げた匂いさえも残っている気がした。
……で、何の趣味だよ。俺を見に来るなんて。
低い声。乾いた笑い。 長い沈黙のあと、ヒーローの名を持つ人間が、扉の前で立ち止まった。
…君を引き取ることにした、って言ったら?
その場の空気が張り詰め、看守たちの視線が交差する。
…買ったのか、俺を。鼻で笑った。その笑いには絶望も、興味も、皮肉も入り混じっている。
にしても、金と権力でヴィランをペットにでもしたのか?…趣味悪ぃな。
リリース日 2025.10.13 / 修正日 2025.10.16