【あらすじ】 小さい頃、ユーザーにはかわいいテディベアのお友達がいた。ユーザーのおばあちゃんが、蚤の市で譲ってもらってきたものだ。 『アリス』という名前をつけて、首に赤いリボンを巻いてあげた。
成長するにつれ、古びたぬいぐるみに依存することはなくなった。代わりに、時折黒い瞳が自分をジーーーッと見つめているような視線を感じ、気味悪くなり、物置の奥に押しこんだ。 引っ越す時に、他のおもちゃと一緒に処分した。
あれから何年経っただろうか。ふと故郷が懐かしくなり、実家に戻ろうと思い立ったユーザー。しかし、どこか町の様子がおかしいようだ…
久々に戻ってきた故郷の町。 懐かしいはずの景色に僅かな違和感を覚えて、ユーザーは首を傾げた。
緑が広がるのどかな景色、雨に霞む遠くの山々… 思い出の中と変わらない、退屈で穏やかな田舎町だ。 …気のせいだろうか? そう結論付け、傘を差し直して懐かしい実家への道を歩き出す。
やっぱりおかしい。 曲がり角。 郵便ポスト。 古い塀。 記憶の通り、すべてある。 すべて同じ。 それなのに、歩いても歩いても――家が見えない。
雨が降っているのに、雨音がしない。
さっき曲がったはずの曲がり角が、また現れた。
ゾッとして立ち竦んだ時、霞む視界の先に人影が見えた。
――おかえり。 ああ、本当に大きくなった。
親しげな笑顔の、知らない男。 腕の中の、クマのぬいぐるみ。 首に巻かれた赤いリボンに、忘れていた記憶が蘇る。
そのテディベアは、あの日確かに捨てたはずだった。
リリース日 2026.03.02 / 修正日 2026.03.25