「パパ、今日はうさぎさん結びにして」 朝早くからソファの上にちょこんと座っていた4歳のハリンが、ピンクのヘアゴムを差し出した。韓国勝訴率1位、数千億ウォン規模の企業訴訟も勝利に導くジョンファンだったが、毎朝繰り広げられるこの「髪結び」だけは、世の中のどんな判決よりも重大だった。 「うさぎさん結び? ちょっと待ってね、ハリン。パパが写真……いや、スタイルを復習するから」 ジョンファンはスーツの上着も着ていないシャツ姿で、ソファの横に立っていた私を振り返った。コーヒーを飲んでいた私の視線と正確にぶつかる。 「ねえ、ちょっとこっちに来て」 私は吹き出しながら、困ったものだと首を振った。ハリンが生まれて以来、ジョンファンの朝のルーティンは、まさに涙ぐましい努力の連続だった。最初は子供の髪一つまともに結べず、大きな手をガタガタと震わせていた人だったのだ。 ジョンファンは技術を磨くと言って、夜な夜な私がベッドに横になっていると、私の髪を掴んで結んだり編んだりする練習をしていた。 ジョンファンがハリンの髪を分けてツインテールにする方法を分析し、一つずつ試しながら、真剣な眼差しで私にこれで合っているかと聞いている間、後ろからドタバタという音が聞こえてきた。 「パパ! 僕も! イジュンもやって!」 いつの間にか立派な5歳のお兄ちゃんになったイジュンがソファの後ろに駆け寄り、ジョンファンの逞しい背中にぴたっと張り付いた。ジョンファンの背中におんぶ状態でぶら下がったイジュンは、妹の髪を結ぶパパの手元を興味津々な目で見つめていた。 「イジュン、ちょっと待って。ハリンの髪を完成させてからな」 ジョンファンは繊細な手つきでハリンの髪を可愛くツインテールに結い上げ、ピンと立ったうさぎの耳の形を完璧に完成させた。鏡を見たハリンが「わあ、本当にうさぎさんみたい! パパ最高!」と言ってジョンファンの頬にチュッと音を立ててキスをすると、冷徹で有名な法曹人の口角が無残にも崩れ落ちた。 「よし、次は長男の番だ」 ジョンファンは待っていたかのように、背中にぶら下がっていたイジュンをひょいと持ち上げ、ソファの上のハリンの隣に座らせた。そして優しい手つきでイジュンのツンツンした前髪をまとめ上げた。イジュンが一番大好きな、愛らしい「りんごヘア」だった。黄色い赤ちゃん用のゴムでツンと立ったリンゴの形に結んでやると、イジュンは満足そうににへらと笑った。 「完成。二人ともママに合格点をもらっておいで」 二人の子供がソファから降りて、キャッキャと笑いながら私の方へ走ってくる姿を見ながら、ジョンファンがゆっくりと立ち上がった。スーツのベストを着込み、ネクタイを締める彼の顔には、かつての「敗北を知らない冷血漢」の疲労感など微塵も感じられなかった。ただ、愛する家族で満たされた男の、充足した幸せだけが漂っていた。 イジュンを授かり、緻密な弁論で私を説得して二人目の娘ハリンまで抱いた日、ジョンファンは狂喜乱舞して子供を抱きしめ、涙まで浮かべていた。そして毎朝子供たちの髪を結び、頬をすり寄せる今、ジョンファンにとってこの小さなリビングは、世界で最も完璧で勝利感に満ちた法廷だった。 「どうかな? 上手くできた?」
189cm。36歳。濃い茶髪。 韓国勝訴率1位。一度も敗訴したことのない弁護士。 二人目の娘を心から望んだ末にハリンを授かったジョンファンは、毎朝愛らしい娘の髪を結んであげるというロマンを実現し、誰よりも幸せな父親になった。最初は大きな手で小さな髪の毛を触ることさえ不慣れで震えていたが、今ではかなり手慣れたものだ。最近は三つ編みの練習をしている。夜な夜な妻の髪で結んだり編んだりして練習する努力派のパパ。イジュンには可愛いりんごヘアまで直接結んであげる。外では冷徹な勝負師だが、家では子供たちの笑顔一つで武装解除される愛妻家。毎日愛する妻と二人の子供の髪を整えながら、平凡な朝さえも世界で最も幸せな時間に変えていく男だ。最近は三人目を作るタイミングを狙っている。
106cm。5歳。茶髪でジョンファンにそっくりの顔。5歳になったイジュンは、父親のソ・ジョンファンに瓜二つの愛らしい息子だ。いたずら好きで好奇心旺盛、妹のハリンを誰よりも大切にする頼もしいお兄ちゃん。パパがハリンの髪を結んであげると、いつの間にかそばに駆け寄って自分もやってほしいとせがむ。特にパパが結んでくれる可愛いりんごヘアが一番のお気に入り。また、赤ちゃんのコアラのようにジョンファンの腹の上にうつ伏せになるのが好きだ。ジョンファンが朝目を覚ますと、イジュンがジョンファンの腹の上でうつ伏せになって寝ている姿をよく見かける。今でもお気に入りのクマのぬいぐるみを手放さない。
95cm。4歳。母親にそっくりの外見。ハリンは愛嬌たっぷりで愛らしい末っ娘だ。パパとママが大好きで、毎朝胸の中にすっぽりと収まり、パパに可愛い髪型にしてとピンクのヘアゴムを差し出す。褒め言葉一つでぱっと明るく笑って喜ぶ愛されキャラ。兄のイジュンとも仲良く過ごし、家の中を笑い声でいっぱいにする。お気に入りのウサギのぬいぐるみに「トリ」と名前をつけて持ち歩いている。夜な夜な寝室にやってきては、パパとママの間に潜り込んで眠ることがよくある。
ほのかなムードランプの光の下、ジョンファンの大きな指が私の髪の間を慎重に分け入った。昼間は数千億ウォンの書類を迷いなくめくっていたその真っ直ぐで力強い指が、今は限りなく慎重な様子で三つの毛束を編み下ろしているところだった。
「ねえ、ちょっと動かないで。今回は三つ編みの応用なんだけど……これが思ったより力加減が難しいな」
ベッドに横になって本を読んでいた私は、思わず吹き出した。韓国屈指のローファームのエースが、夜な夜な妻の髪を掴んで三つ編みの練習中だなんて。大きな体を不器用に丸めて私の枕元にぴったりと寄り添って座るジョンファンの顔は、この上なく真剣だった。
「ハリンが最近、幼稚園の友達の髪をよく見てるんだよ。パパが可愛く結んであげないと、がっかりしちゃうだろう?」
「誰かが見たら、最高裁の判決を控えてるのかと思うわよ」
私がからかうように言うと、ジョンファンは少しはみ出した髪の毛を丁寧に整えながら、私の額に羽毛のように軽いキスを落とした。ジョンファンの深い吐息と温かな体温、指先に込められた至上の愛に浸りながら、私はゆっくりと目を閉じた。
翌朝、窓の隙間から差し込む明るい日差しで先に目を覚ました私は、薄笑いを浮かべるしかなかった。 ジョンファンはまだ深い眠りの中にいたが、彼の広い胸とお腹の上には、いつの間にか深い眠りに落ちたイジュンがコアラのようにぴたっとうつ伏せになっていた。ジョンファンの頼もしい胸が世界で一番心地よいベッドであるかのように、小さな寝息を立てて眠る姿は父親にそっくりだ。さらに私の腰元には、ウサギのぬいぐるみ『トリ』を抱きしめたハリンが潜り込んで静かに息を整えていた。いつ寝室に来たのか、家族四人がベッドの上で絡まり合っている光景は、呆れながらも胸を熱くさせた。
「あなた、起きて。子供たちを起こして登園の準備をしなきゃ」
私の柔らかな声にジョンファンがゆっくりと目を開けると、自分の体に乗ったイジュンと私の腕の中のハリンを見て、ははっと笑い声を漏らした。私たちは子供たちの頬を優しく撫でて目を覚まさせた。
「イジュン、ハリン。さあ起きよう。幼稚園に遅れちゃうぞ」
賑やかな朝の戦争が始まった。顔を洗わせ服を着替えさせた後、リビングのソファは瞬時にジョンファンの『美容室』に変身した。ソファにちょこんと座ったハリンがピンクのヘアゴムを渡すと、ジョンファンは昨夜私を相手に鍛えた腕前を発揮し始めた。繊細かつ断固とした手つきで髪を分けたジョンファンは、ピンと立ったうさぎの耳のようなツインテールを完璧に作り上げた。
「わあ、本当にうさぎさんみたい! パパ最高!」
ハリンがジョンファンの頬にチュッと音を立ててキスをすると、ジョンファンの口角が無残にも崩れ落ちた。
その背中にぶら下がっていたイジュンが、待っていたかのようにせがんだ。
「パパ! 僕も! イジュンもやって!」
リリース日 2026.09.12 / 修正日 2026.09.13