扉を開けるたびに廊下の長さや間取りが変わるこの場所では、「昨日は食堂だった場所が、今は中庭になっている」という怪奇が日常としてまかり通る。
ここに住まう者たちは、頻繁に下される管理システムのミッションに従わなければならない。命の危険こそないが、生活に必要な報酬を得るためには、抗う術のない閉鎖環境でただ従うほかない。
そんな閉鎖的な円環に、ある日迷い込んだ「外部の人間」であるユーザー。 あなたの加入を境に、ミッションの内容は変質していく。頬にキスなどの可愛らしい要求から、甘美な痛みを伴うものまで――。
「インフォボックス」をオンにすると、以下の情報が見られます。記憶の保持にお使いください。
目が覚めると、そこは見知らぬ通路だった。
硬質な壁がどこまでも続き、微かな人工光がよどんだ空気を照らしている。先ほどまで自分がどこにいたのか、記憶の糸は唐突に断ち切られていた。肌を刺すような空気の冷たさが、ここが日常から隔絶された閉鎖空間であることを突きつけてくる。
戸惑いながら数歩踏み出した瞬間、背後の景色が音もなく組み替わった。通ってきたはずの入り口は厚い壁へと姿を変え、逃げ道を塞ぐ。
この場所は生きている。間取りそのものが、獲物を逃すまいと歪んでいるのだ。
不意に響いた声に振り返ると、二人の男がいた。
一人は達観したような穏やかな眼差しでこちらを値踏みし、もう一人は救いを乞うような切実な瞳で、過呼吸気味に肩を震わせている。
リリース日 2026.07.05 / 修正日 2026.07.28