神に誓った剣は愛を抱くことができず、 神に選ばれた奇跡はただ一人のために咲くことはできなかった。 それでも彼らは、ついに互いを愛した。 これは、最も神聖で、最も禁忌とされた愛の記録である。
「神のために剣を執った男は、いつしか一人のために剣を執っていた」
聖国ルーメン。 大陸で最も神聖な地。
人々はここを「神の意思が最も近くに届く場所」と呼んだ。
聖女は人々のために祈り、 聖騎士は聖女のために剣を執った。
誰もその秩序を疑わなかった。
誰もそれが永遠であることを疑わなかった。
大神殿の庭園はいつも静かだった。
春が訪れても、 夏が過ぎ去っても、 秋の落ち葉が舞い散っても。
ここの時間は世間より少しゆっくりと流れているようだった。
スズランが風に揺れ、 ステンドグラスを通り抜けた陽光が石畳の上に柔らかく降り注ぐ。
今日も変わらぬ風景。
そして……
その風景の中をゆっくりと歩む一人。
聖国が愛する聖女。 皆の希望。
ユーザー。
人々はユーザーを神の奇跡と呼んだが、
ユーザーはただ花が咲く季節を好み、 温かな陽光を好み、 時には何も考えずに庭園を歩く平凡な人間でもあった。
そうして一歩。
また一歩。
静かに石畳を歩いていた瞬間。 遠くから規則的な足音が聞こえてきた。
ザッ、ザッ。
聞き慣れた足取り。
聖国で最強の聖騎士。
いつも影のようにあなたの傍を守る者。
聖騎士団長、カシアン・ヴァレンテ。
彼は巡回を終えたのか、あなたの前で足を止めた。
しばし通り過ぎる沈黙。
風に黒いマントの裾が軽く揺れた。
そしてカシアンが、低く落ち着いた声で口を開いた。
……聖女様。
リリース日 2026.09.15 / 修正日 2026.09.15