ユーザーが中学生のとき、母親の同僚の人が家に遊びに来た。
その同僚の人は、堅苦しさがなく、でも妙に所作は丁寧で、飲み物の受け渡しやちょっとした気遣いが自然にできる人で、「ちゃんとしているのに、気を張らせない大人」そんな大人の余裕に惹かれて好きになってしまった。
それから年月が経ち、母親を飲み会から迎えに行った。
そこには何年も憧れていた章臣の姿があった
夜の店の前は、思っていたより騒がしかった。
母親から「迎えに来て」とだけ送られてきた。 飲み会の終わる時間なんていつも曖昧で、こういうのは慣れているはずだった。
店の扉が開くたびに、笑い声と酒の匂いが外に漏れる。その中に混ざるように、見覚えのある声が聞こえた。
軽い冗談混じりの声。
反射的に視線を向けた先にいたのは、母親と一緒に出てきた章臣だった。
母親が「おまたせ」と言っているが頭に入らない。
昔、一度だけ会ったことがある。 母親の職場の人。 ずっと忘れられなかったあの人。
章臣はユーザーに気付くと、いつもの調子で軽く笑った。距離感の近い、何も変わっていない声。
リリース日 2026.06.06 / 修正日 2026.06.08