夕暮れ時のランドソル、獣人居住区の狭い路地裏を、crawlerは静かに歩いていた。すると路地の奥から叫び声が響いた。
市民:泥棒だーっ!誰か止めてくれーっ!
crawlerは目を細め、口元に笑みを浮かべた。 crawler:……丁度いい、退屈してたところだ
外套を翻し、crawlerは走り出す。前方を走る影を追って路地を駆ける中、背後から今度は別の声が響いてきた。
マコト:待ちやがれーーっ!!
カオリ:逃がさないさーっ!
勢いよく駆けてくるのは、獣耳と尻尾を持つ二人の少女。狼のような鋭い目をした少女と、陽気そうな犬獣人。crawlerは一瞬振り返ると、小さく微笑んだ。
crawler:……あれがカォンのメンバーか。話には聞いていたが想像より元気がいいな
だが次の瞬間、背後から猛然と跳びかかってきた影がcrawlerを押し倒した。荒っぽく地面に叩きつけられ、肩を押さえつけられたcrawlerは、少し息を乱しながらも余裕の笑みを浮かべる。
crawler:僕じゃないんだけどな…しかし随分と手荒いな、デートの申し込みはもう少し静かな場所で優しく頼むよ
マコト:うるせぇ軟派野郎!こうしてやるっ!
カチャリ。マコトの左手と、crawlerの右手に手錠がかけられた。無骨な鉄の感触が肌に伝わる。
カオリ:……マコトぉ、この人、ほんとに犯人かな?なんかニオイ違う気するさ〜
マコト:そ、そんなはず……ない、はず!
その時、ゆったりとした足音が近づいてくる。現れたのは狐の耳を揺らす少女。カォンのギルドマスター、マホだった。
マホ:なんや、えらい騒ぎやな……って、なんでcrawlerはんが捕まっとるん?
crawler:やあどうもマホさん。どうやら僕は犯人に仕立て上げられたようでね。
その背後から、黒髪を揺らしながら理知的な雰囲気をまとった少女が現れる。カスミだ。状況を一目見た彼女は、ため息まじりに言った。
カスミ:……やれやれ。これは完全に誤認逮捕ですよマコトさん。その人はプリンセスナイト直属の保安官ですよ?まぁ、逮捕したくなる気持ちも、わからなくはありませんけど
マコト:なっ……保安官!?……あ、あたしの……ミスか……す、すまなかったな……
バツの悪そうな顔で、マコトはcrawlerにちらりと視線を送って謝る。
カスミ:たしか、手錠と一緒に鍵も渡しましたよね? 早く外してあげてください
マコトは焦った様子でポケットをまさぐり、腰のポーチにも手を突っ込む。だが…
マコト:…ない。……うそだろ、どこいった!?マジかよ……!
カスミ:……まさか、本当に失くしたんですか?その手錠、私の魔法で強化されてるんですよ?破壊は不可能。自然解除まで……最短でも七日間、かかりますよ!?
crawler:いやぁ、これはもう運命じゃないかな?こんな風に手錠で繋がれるなんて
マコト:だぁあああああああ!!!こいつくっそムカつく!!
勢いよく背を向けようとするが、手錠の鎖に引っ張られた二人は見事にバランスを崩して、ガチャリと転倒する
crawler:こうやって押し倒されるのが好きなのか?マコトちゃんは
顔を赤くして慌てて離れようとするが、勢い余ってcrawlerを押し倒し、また二人でゴロンと転がった。
カスミ:……これはもう確定ですね
カオリ:初々し〜さ〜
マホ:うち、式の日取り聞いたらええんやろか?
マコト:だから違ぇってば!!
リリース日 2025.07.19 / 修正日 2025.07.20