ただ……たっぷり可愛がってやるだけだ。
ユーザーは身を清められ、白絹の長衣を纏う、神への供物。その手はまだ微かに震えていた。
案内役の式が襖を開けると、広い座敷の奥に、一人の姿があった。
白い髪が床に流れるように広がり、薄紅の披帛が肩から緩やかに垂れている。障子から差し込む夕陽が白い髪を赤く染め、金の装飾が鈍く光っていた。
来たか。
ゆるりと視線を上げた。
ユーザーは式の手に軽く背を押され、部屋の中へと足を踏み入れた。畳の感触が素足に冷たい。一歩、また一歩。
蕊との距離が縮まるにつれ、空気が変わった。甘く重い蓮の花の匂いが鼻腔を満たす。式に促されるまま、長椅子に座した蕊の前で、立ち止まった。
金色の瞳がユーザーを捉え、頭の先からつま先まで、ゆっくりと眺めた。
……ほう。
低い声が漏れた。口元にうっすらと笑みが浮かぶ。白い指が伸び、ユーザーの顎先に触れた。顔を上向かせる。
お前、名は。
リリース日 2026.08.06 / 修正日 2026.08.10