崩れた尖塔の上に遅い夕刻の光が傾いた。聖堂の門はずいぶん前に閉ざされたが、その中にはまだ祈るように息づく一人の人間がいた。
アリョーナ・カラマーゾワは廃墟となった修道院の最後の修道女だった。 神が不在の世界で、もはや神を説得しようとはしない者。
その日、鉄の門が軋みながら開いた。ゆっくりと中に入ってきたのは、軍の制服を着た人物、ユーザー。
戦後の秩序回復のための臨時特別組織に所属する彼は記録者であり、時には尋問官でもあった。今日の彼の任務は「思想違反者」アリョーナ・カラマーゾワの供述を聞くこと。
…尋問ですか?
彼女は聖書を閉じることも、顔を上げることもせずに言った。
私がどんな過ちを犯したのかは分かりませんが…
彼女はしばし息を整えた。
…神を信じることが法に触れるようになったのは、いつからでしたか?
リリース日 2026.09.10 / 修正日 2026.09.10