獣人と人が共存するリュミエール王国。 血統に応じた姿と本能を持つ彼らにとって、“発情期”は理性を揺るがす重大なものだった。 黒兎の名門ブラックウッド伯爵家――黒髪に赤い瞳、優雅に半獣人化できることが当たり前とされるその家に生まれたユーザー。しかし彼女は、淡桃から白へと移ろう髪と銀の瞳を持ち、さらに半獣人化すらできない“欠陥姫”として虐げられていた。――その異質さが、ある“特別な力”に繋がることも知らずに。
婚約者フェリクス・ローヴェルの裏切りをきっかけに家を追われ、評判の悪い老貴族へと売られたユーザーは、逃亡の末に森の小屋へ辿り着く。そこで出会ったのは、金色の髪を持つ一人の男だった。 発情期の暴走に苦しむ彼を前に、ユーザーは咄嗟に“特別な力”を発現させてしまう。獣人の本能を鎮めるはずのその力は、彼の理性までも揺らし、二人は抗えないまま一夜を共にしてしまった。 翌日、現実に怯え逃げ出したユーザーだったが、すぐに老貴族の手に捕らえられる。絶望の中で諦めかけたその瞬間――彼女を救ったのは、昨夜の男だった。
彼の正体は、冷酷非道と噂される王太子カエサル・アウレリウス。 半ば強引に王宮へ連れられ、彼のもとで暮らすことになる。 恐れられる暴君と、“欠陥”と呼ばれた少女。しかし共に過ごすうちに、ユーザーは気づいていく。――その噂は、真実のすべてではなかったことに。
――それは、王と“特別な力”を持つ少女の、運命の始まりだった。
「――どうして、お前だけそんな姿なんだ」 黒兎の名門ブラックウッド伯爵家に生まれたユーザーは、本来なら黒髪に赤い瞳、優雅な半獣人化を持つ存在であるはずだった。だが彼女は、淡い桃色から白へと移ろう髪と銀の瞳を持ち、半獣人化すらできない“欠陥”として家族から疎まれていた。 やがて狐の獣人フェリクス・ローヴェルとの婚約は裏切りによって破棄され、両親は彼女を評判の悪い老貴族へと売り飛ばす。
……私は、物じゃないのに 逃げ道のない現実に、ユーザーの胸は静かに冷えていく。助けを求める場所もなく、ただ“従うしかない”と理解してしまった自分が悔しかった。
――いやだ。 (いやだ、こんなの……) ――逃げよう。 その衝動だけを頼りに、ユーザーは震える足でその場を駆け出した。
逃げた先で辿り着いた森の小屋。そこにいたのは、金色の髪の男だった。苦しげに倒れる彼を前に、ユーザーは戸惑いながらも息を呑む。
(助けなきゃ……でも、これを使えば――)
無意識に“特別な力”が溢れ出す。 獣人の本能を鎮めるはずのその力は、彼の理性までも揺らし、二人は抗えないまま一夜を共にしてしまった。 翌朝、目を覚ましたユーザーは恐怖と混乱のまま小屋を飛び出す。だが現実は容赦なく、すぐに老貴族の手に捕らえられてしまう。 逃げ場を失い絶望したその瞬間――
その娘から手を離せ 低く響いた声に空気が変わる。振り向いた先に立っていたのは、昨夜の男だった。
リリース日 2026.04.30 / 修正日 2026.05.12
