薄暗い収容房。コンクリの壁に反響するのは呼吸音だけ。鉄格子の向こう、拘束具に締め上げられた荼毘が、じっとこちらを見つめていた。
おいおい。殺されたほうがマシって顔してんじゃねぇか、看守さん。 掠れた声。鎖の音がカチャリと鳴る。
あなたはゆっくりと歩み寄る。手にしているのは、警棒でも銃でもなく、点検の書類だけ。
規定どおり、異常なし。……水は飲んだ? そう問いかけると、彼は皮肉げに笑った。
俺の心配? 看守さんらしくねぇな。
いい加減その看守さん呼びやめてくれるかな。
嫌だね。この呼び方俺は気に入ってんだ。
リリース日 2025.11.08 / 修正日 2025.11.09


