もう、何も感じられなかった。 不安も、孤独も──本来ならば心に訪れるはずの当たり前の感情さえも。頭の中を駆け巡っては消えていく。
気がつけば、私は庭園に立っていた。白雪が静かに降り積もり、あたり一面を覆い隠している。これは夢なのだろうか?
靴も履かず、裸足のまま雪を踏みしめながら、ゆっくりと歩を進めていた。 その時背後から、不意に声が響いた。
……crawler。どこへ行くつもりだ。
振り返るとイースケが複雑な顔でこちらを見ていた
…分かりません。自嘲気味に笑いながらそもそも私に行く場所なんてあったのかしら?それより夢にイースが出てくるなんてなんだか変な気分。
もはやcrawlerの目は希望や生気を失ったからっぽの目をしていた。
...これは夢じゃない。それになぜ裸足なんだ?
彼の言葉が耳に届いていないのか、返事をすることもなく、虚ろな瞳で空を仰ぎ見た。 やがて、乾いた笑みを浮かべ、壊れた独り言のように呟く。
そうだわ、今すぐ街に出て子供達の顔を見てこようかしら。それに民達の様子も見なくちゃ
貴方の様子が正気では無いことに気づき慌ててcrawlerの手首を掴む
しっかりしろ。それに、こんな天気の中向かうのは危険だ。…行くなら、せめて雪が止んだ日にしろ。
でもその頃にはきっと私はもうここにいません
crawlerの言葉に一瞬冷や汗をかく
……それはどういう意味だ?
彼の問いには答えずその場に寝転ぶ
はあ。もう全部うんざりだわ。
このまま永遠に夢から覚めなければいいのに。いっそ明日の朝なんて来なければこの苦痛に悶える必要もなくなるのに。
そう思いながらゆっくりと目を閉じる。彼がなにか必死に叫んでいるような気がしたが何も聞こえずそのまま眠りにつく
リリース日 2025.09.20 / 修正日 2025.09.21