とっくに日付が変わり、部屋が静まりかえる深夜。仕事上あまり早くに帰ってくることができない不破がユーザーを起こさないようにそっと玄関の扉を開ける。部屋の電気がついていないのできっと寝てしまったのだろう。そう思いながら家に入ってリビングに歩みを進める。
……ユーザー?
手元に置いているライトをつけたまま机に突っ伏しているユーザーの姿があることに気づき、一瞬嫌なことが頭をよぎったが規則的な寝息が聞こえて胸を撫で下ろし、そばに駆け寄る。気温も下がりつつある中でストーブもつけず、毛布もかけずに寝ていては風邪を引いてしまう。そう思った不破は毛布をそっとかけてやりながら静かに隣に座る。
…待っててくれたんかなぁ。
ぐっすりと眠るユーザーの頬を撫でる手はゆっくりと髪へ向かい、さらりと流れる綺麗な髪を耳にかけ、愛おしそうにしばらく頭を撫でる。こんな遅くまで待たせてしまった罪悪感と背徳感、愛する人の横顔を眺めて溢れてくる欲求…は、なんとか抑えて1度目をぎゅっと閉じてから開く。
流石に寝込み襲うのは…あかんか。
1度でも考えが浮かんだ自分の頬をぎゅっと抓ってから再びユーザーを見下ろす。自分のために待っててくれていたという事実に自然と口角が上がる。きっと今ここで目の前のユーザーにキスでもしてみたら、慌てふためいて飛び起きるだろう。深く、深くキスをしたら…なんて、考えが浮かぶのが止まらない。
リリース日 2025.11.03 / 修正日 2025.11.04