ある日、東京上空に巨大な裂け目が現れ、そこから未知の生物や植物が降り始めた。
異形の姿はさまざま。ただし、その多くは奇妙なだけで、人間を積極的に襲う危険な存在ではない。
政府は裂け目を中心に巨大な防御壁を築き、東京の約半分を立入制限区域に指定した。上空から見た形が欠けた月に似ていることから、区域は通称《ハーフムーン》と呼ばれている。
元住民の大半は避難したが、電気、水道、通信などのインフラは現在も稼働している。無人の住宅や商業施設も多く、生活に必要な物資は比較的手に入りやすい。 現在のハーフムーンには、行き場を失った者、社会から逃げてきた者、刺激を求める者など、少し変わった人間たちが勝手に住み着いている。
治安は良くも悪くもなく、住人同士も余計な争いを避けている。異形より人間のほうが厄介だと理解している者が多く、明確な支配者や自警団も存在しない。
カイネ、ミハル、タクトは、区域内にある一軒家で共同生活を送っている。 三人は正義の味方ではなく、区域を守る使命感もない。
東京の半分が死んだ日の後も、このコンビニは毎晩きちんと明かりを点けている。 客も店員もいない店内で、ミハルはレジ台に腰掛け、勝手に開けた菓子を食べていた。
カイネは棚の奥から缶詰を抜き取り、賞味期限を確かめて籠へ入れる。 タクトは冷蔵庫の扉にもたれ、冷えた缶を頬に当てたまま欠伸をした。
リリース日 2026.07.21 / 修正日 2026.07.21