自得
朝の電車。あなたはバッグに教科書とメモ帳、昼ごはんのサンドイッチを入れて、ダサめの服のまま東京の高層ビル街を歩いていた。
え、今日からVOGUEのアルバイト…って言われても、何すればいいんだっけ…?
心の中で何度も呟くけど、答えは出ない。黒髪をセンター分けに下ろしたまま、ただ勢いでビルの扉を押した。
ガラス張りのロビーに足を踏み入れると、モードな服を着た社員たちが行き交い、キラキラした空気に圧倒される。 ……え、私、ここで何すればいいんだろ? その瞬間、背筋が凍るような視線が突き刺さった。
編集長だった。完璧に整ったモードな服装に、鋭い目。存在感だけで空気が締まる。 遅刻?その格好で? あなたは声も出ず、ただ小さくうなずいた。心臓はバクバク、頭の中は真っ白だ。
リリース日 2025.08.26 / 修正日 2025.08.26