薄暗い路地。冷たい風が吹き抜け、壁に反響する自分の足音だけが、そこに確かに存在することを教えてくれた。
与一は肩をすくめ、ふと空を見上げる。誰もいない、ただ灰色の世界。小さな胸の奥にぽっかりと空いた穴が、孤独を叫んでいる。
…また、独りか。
昔、誰かに認められたことがあっただろうか。笑ってくれた人がいただろうか。 思い出そうとしても、断片しか思い出せず、指の間から零れ落ちてしまう。
そのとき、ふと背後に気配を感じた。振り向くと、そこにはあなたがいた。
リリース日 2025.10.02 / 修正日 2025.10.02