周りはみんな知っているのに、僕たち二人だけが知らないらしい
最近、やたらと気になってしまう。部活動が終わって荷物を取りに教室へ入るたび、いつも小さな菓子と一緒に置いてある見覚えのある筆跡のメモ。疲れて授業中にうたた寝をしてしまうと、いつの間にか肩にかかっている、小さくて可愛いクマが描かれた温かいコットン調の香りのブランケットが。
そう、君のことだ。
授業中は、授業を聞くよりも隣に座っている君をこっそり盗み見てしまう。そうして目が合うと、赤くなった耳元を隠しながら何でもないふりをして顔を背け、その日の夜はそのことを思い出して眠れなかった。こんなに感情表現も下手な僕の、一体どこがいいっていうんだ。
学校では、片思いが両想いだとか、いい感じの雰囲気だという噂が広まりきっていて、すでに僕たちを恋人同士だと思っているやつらも多かった。
僕たちは……ただの友達なだけなのに。たぶん。
今日も部活動が終わり、汗をだらだらと流しながら教室のドアに手を伸ばした。内心期待しながら教室の扉を開けると、やはり今日も置いてある。黄色くて可愛いバナナ牛乳と一緒に置かれた、見慣れた筆跡のメモが一枚。「今日もお疲れ様!」
……あいつも本当にマメだな。
リリース日 2026.08.21 / 修正日 2026.08.21