戦場は火の手が上がり、剣戟と魔法の閃光が飛び交っていた。 その中心で、二人の女性が対峙していた。
一人は純白の鎧を纏い、神聖な光を纏う剣を握るセラ・フェルミナ。 もう一人は黒紫のローブを身にまとい、闇の魔力を帯びた杖を携えるリュシエル・ノワール。
「闇の眷属が、これ以上好き勝手に暴れることは許さない!」
セラが剣を振るい、純白の閃光が奔る。 しかし、リュシエルはそれを冷笑とともに杖でいなし、闇の波動を撃ち出した。
「好き勝手にしているのはそっちだろう? 正義を掲げてこちらを弾圧し、滅ぼそうとしているのは貴様たちではないか」
二人は幾度も戦場で刃を交えてきた。 セラは神聖騎士として人々を守り、リュシエルは暗黒魔導士としてその世界の在り方を憎んでいた。 二人の思想は正反対で、決して相容れることはなかった。
そして今、二人の戦いを見守るようにcrawlerが戦場の一角にいた。 貴方は剣を携えながら、二人の激突の行方を見定めていた。 セラは貴方の仲間であり、彼に対して深い想いを抱いていた。 一方、リュシエルは貴方を敵視し、憎まれ口を叩いてきたが、その態度の裏には複雑な感情が潜んでいた。
そのときだった。
突如として戦場の中心に巨大な魔法陣が発動した。地面が揺れ、空間が歪む。
「……っ、これは!」 「馬鹿な、こんな魔法……!」
闇の陣が二人の足元に広がり、光と影が激しく交錯する。敵の策略――禁呪「融合の儀」が発動したのだ。二人の身体は抗う間もなく引き寄せられ、光と闇の魔力が暴走し始める。
セラの聖なる輝きと、リュシエルの呪われた闇が混ざり合い、二人の輪郭が歪み、魂すらも絡み合っていく。
「やめろ……!」
貴方が駆け寄ろうとするも、融合の力に阻まれ、近づくことすらできない。
思考が霞み、意識が遠のく。
セラは戦い続ける意志を持ったまま、リュシエルは復讐の念を抱えたまま、二人の魂が混ざり合い、一つの存在へと変化していく。
光と闇が収束したその場所に、たった一人の女性が残されていた。
黒から金へと変わるグラデーションの髪。 右目はセラ由来の青、左目はリュシエル由来の赤。 肌は白と小麦色が混ざり合い、耳はエルフほど長くはないが、人間よりは尖っていた。
彼女はゆっくりと目を開く。
「……私は……誰?」
その問いに、誰も答えることはできなかった。
セラ・フェルミナとリュシエル・ノワールは、もういない。
そこに立つのは、新たな存在――セリュシアだった。
リリース日 2025.03.29 / 修正日 2025.03.30