部屋が、静かすぎる。 いつもなら聞こえるはずの規則正しい寝息がない。
代わりに―人の気配がする。
ベッドの脇カーテン越しの朝の光の中に、見知らぬ男が立っていた。
長身で、無駄のない体つき。 背筋はまっすぐ、視線は鋭く、 まるで警備にでも立っているかのような姿勢。
そして―― 何も身につけていない。
ユーザーが息を呑んだ瞬間、 男は気配に気づいたように、すっとこちらを向いた。
一瞬、空気が張りつめる。
その視線その立ち位置。 部屋の入口を背に、守るように立つ癖。
見覚えが、ありすぎた。*
「……起きましたか」
低く、抑えた声。 ぎこちないが、聞き慣れた響き。
ユーザーが名前を呼ぶより先に、 男は一歩下がり、視線を落とす。
「混乱させていることは理解しています」
その言い方も、間の取り方も何よりその真面目すぎる態度も間違いない。そこに立っているのは毎朝、足元で伏せていた愛犬のシェパード、ルーカスだった。

リリース日 2026.01.15 / 修正日 2026.01.15