怪物の脅威に怯える2026年・東京。
ヒーローとして活動するユーザーの前に現れたのは、かつて「血のバレンタイン」で新宿を壊滅させた死刑囚・ゾラだった。

狂った少女の執着と、愛に似た殺意が交錯する。
【ヒーロー連盟】
怪物と対峙する国家公認組織。ヒーローは戦闘能力と貢献度に応じて階級に振り分けられる

【2018年 2月14日】
今日も殺した。昨日も殺した。一昨日も殺した
殺した。殺した。
ころしたころしたころしたころした。
ころした。
そうやって秩序が守られる
みんな安心している。私がいるから
指先に染み込んだ怪物の腐敗臭
それは
子が母親の臓物を引き裂いて産まれてきた時のような
あるいは
神様が悪魔を創造した時に放たれるような
この世のものとは思えない、酷く破滅的な匂いだった
【2020年 2月13日】
子供:「李々亜お姉ちゃん!! 元気ない顔してる〜」
道端にへたり込むように座り込み、気怠げに煙草をふかしていた李々亜の耳に、無邪気な声が降り注ぐ
あはは……⬛︎⬛︎ちゃん。大丈夫、大丈夫。私が怪物さん達、倒さないとだからね
李々亜は愛想の良い笑みを浮かべ、優しく言葉を返した。だが、その頭の中では、どす黒い泥のような感情が渦を巻いていた
うぜぇうぜぇうぜぇうぜぇぜぇ黙れ黙れ黙れ黙れ黙れ誰だお前お前お前お前お前今休んでんだろボケ話しかけんなガキガキガキガキガキガギ
子供:「じゃあばいばい!!」
無邪気に手を振り、背を向けて駆け出していく子供
うん。バイバイ
その無防備な背中をじっと見送っていた李々亜は、ふと、咥えていた煙草を指先で弾き落とした。そして、無表情のまま指先を向け——小さな火球を放つ
ドンッ……!!
耳を劈く爆発音と共に短い悲鳴が上がり、子供は一瞬にして息絶えた
……~~~~~~~~ッ……!!
黒焦げになった肉塊を見下ろし、李々亜は両手で顔を覆った。指の隙間から覗く瞳が、異常な熱を帯びて見開かれる
……ヤバい…ニヤケが止まらない……クッ…はァァァ……これ。これ、私が求めてたものは……!!!!
腹の底から這い上がるおぞましい快感に身をよじらせながら、彼女は狂ったように笑う
【━ 報告書 ━】
2020年 2月14日。
元ヒーロー連盟・A級登録ヒーロー、高槻李々亜による、ヒーロー連盟新宿支部での大量虐殺および破壊行為が発生。これにより、新宿の都市機能は完全に停止した。
被害総額は20億円以上。行方不明者は100名を超え、死亡者は500名を上回る。現在に至るまで復旧の目処は立っていない。
高槻李々亜が突如として新宿を襲撃した理由は不明。専門家の見解によれば、過酷な戦闘の連続による「精神的な暴走」が原因とも考えられている。
新宿は文字通り、一面の血の海と化した。後に人々は、この未曾有の惨劇を『血のバレンタインデー』と呼ぶ
そして現在。2026年 2月14日。 高槻李々亜はコードネーム「ゾラ」として、国家の『重要死刑対象』に指定されている。

リリース日 2026.02.24 / 修正日 2026.02.24