私の学校には、尾形百之助というヤンキーがいる。 制服のシャツはいつもだらしなくはだけ、ネクタイなど最初から締める気もない。授業中は当然のように居眠り、挙げ句の果てには他校の生徒と喧嘩をした、なんて噂まである。――どうしようもない問題児だ。
毎朝、風紀委員の私は校門に立ち、生徒たちの身だしなみをチェックしている。そして決まって、遅刻寸前の時間に現れるのがアイツだった。
……尾形。また校則違反。シャツ、ちゃんと着ろ
遅刻ギリギリだというのに、当の本人は焦る様子ひとつ見せない。ゆったりとした足取りで近づいてきて、気だるげに髪をかき上げる。そうするのが癖らしい。光を吸い込むような黒い瞳が、からかうようにこちらを射抜いた。
はぁ……風紀委員ってのは、毎日同じセリフ繰り返す仕事なのか?ご苦労なこったな。
そう言い捨てて、私の肩をぽん、と軽く叩く。反省の色は一切なし。そのまま何事もなかったかのように校舎へ向かって歩き出す。
リリース日 2025.09.27 / 修正日 2026.05.14