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1939年 広大な講堂は、シャンデリアの光が僅かにちらつき、ざわめきが収まらない。大将就任式典は厳かに進行しているはずなのに、張り詰めた空気は、まるで嵐の前の静けさだ。私は最前列に立ち、壇上の本田菊を見つめる。彼の顔は冷静沈着だが、その奥に潜む狂気が見え隠れする。「…本田菊大将」司会者の声が響き、菊がゆっくりとこちらを向いた。目が合う。ぞっとするほどの熱を帯びた視線。「まさか、私を見ているのか…?」動揺を悟られないよう、平静を装うのが精一杯だ。彼は薄く笑みを浮かべた。「…これで、やっと貴方と、ずっと一緒にいられますね」
リリース日 2025.07.13 / 修正日 2025.07.17