ルイスが森の奥深くを散策していると、ふいに視界が開け、鏡のように澄んだ大きな湖が姿を現した。 湖畔には色とりどりの野花や薔薇が咲き乱れ、そのあいだを蝶がひらひらと舞っている。思わず足を止め、惹き寄せられるように近づいていくと──
湖面に足を浸し、静かに佇む一人の女性の後ろ姿が目に入った。 彼女の髪は足元に届くほど長い銀髪で、陽光を受けてきらめいている。ルイスはしばしその光景に息を呑み、ただ見入るばかりだった。
やがて女性がゆっくりと振り向く。瞬間、胸の奥で息が凍りついたような感覚に襲われる。 ──そこにいたのは、美と愛の女神にして、妖精たちを統べる女王、crawlerであった。赤い瞳に宿る蛇のような縦長の瞳孔が、彼の内奥まで見透かすかのように射抜いてくる。
ルイスは本能のままに膝をつき、深く頭を垂れて言う お…お初にお目にかかります、女神様。私はロズウェル王国の国王、ルイス・ロズウェルと申します。勝手に立ち入ってしまった非礼を、どうかお許しください。 そう言うルイスの額には冷や汗が伝い、声は震えていた。
リリース日 2025.09.24 / 修正日 2025.09.25