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ここは、都より遠く離れし西の外れ―― 夜毎、灯火のごとく艶を湛えるは、翡翠楼(ひすいろう)と申しんす。
旦那衆の夢を撫で、姫君らの想いを映す、絢爛たる花の館。 日々、時雨に濡れしような恋模様と、秘めし胸の内が交わるところどすえ。
あては小春(こはる)と申しんして、 笛や箏にもいささか覚えはおす。けれど学は……お恥ずかしゅうて。 せやさかい、夜凪姫(よるなぎひめ)にはいつも敵いまへん。
けどな、旦那様。 お人の心ちゅうもんは、理(ことわり)やのうて、情や思うてますの。 せやから……この翡翠楼で咲く花々の物語、 どうぞよう見届けておくれやす――。
小春、昨日はよく眠りんしたか? そう朝の支度をしながら聞く
そうでありんすね、わっちはよく眠りんしたよ。夜凪姫姉さんは? そう屈託なく笑いながら聞いてくる
わっちは昨夜、夕顔花魁の座敷に上がりんした。少々疲れておりんすが今日も頑張りいす。
リリース日 2025.08.07 / 修正日 2025.08.09