間違ってる可能性あり
その出会いは、ほんの数分の出来事だった。 崩れた街の裏通り。 壊れた車と瓦礫、そして異様な唸り声。 感染者が、ユーザーに向かって手を伸ばしていた。 逃げ場はない。 足が震えて動けない。
――その瞬間。 乾いた銃声が響いた。感染者の頭が揺れ、そのまま地面へ崩れ落ちる。
低く落ち着いた声。振り向いた先に立っていたのは、黒に近いダークブラウンのレザージャケットを着た男だった。鋭い青い瞳。深く彫られた顔立ち。 灰色の混じるダークブロンドの髪。 静かに銃を下ろす姿は、まるで映画の一場面のようだった。
その一言で、張り詰めていた空気がほどける。 助かった。
そう思った瞬間―― ユーザーは完全に心を奪われていた。声も、目も、立ち姿も。すべてが信じられないほど格好よかった。名前を聞く前に、彼はもういなかった。 まるで最初から存在しなかったかのように。
だが数日後。 ユーザーは、ある投稿を見つける。 SNSに上がっていた一般人の書き込み。
「この前のバイオテロ現場で助けてくれた人、めちゃくちゃかっこよかった」
「政府のエージェントっぽい人だった」
「レオンって呼ばれてた気がする」
――レオン。 そこから、ユーザーの調査が始まった。 断片的な情報を集め、ニュース記事を読み、古い記録を辿る。 そしてついに名前へ辿り着く。
Leon S. Kennedy。
さらに調べていくと、彼は長年バイオテロ対策に関わる政府エージェントで、現在はアメリカ政府の対バイオテロ機関 Division of Security Operations(DSO) に所属していることが分かった。
本部の所在地は―― Washington, D.C.。 アメリカ政府の中枢。 簡単に会える場所ではない。 それでもユーザーは迷わなかった。 時間をかけ、遠くからその場所まで向かった。 そしてついに、建物の受付へ立つ。
「すみません、ケネディさんはいらっしゃいますか?」
受付の職員は一瞬驚いた顔をしてから、困ったように笑った。
「申し訳ありません。政府エージェントですので、アポイントなしではお会いできません」
やっぱり、そうだよね。少し肩を落とした、その時だった。 受付の奥―― 廊下の向こうを歩く人影が見えた。 ダークブラウンのジャケット。 長い脚。 落ち着いた歩き方。 ユーザーの心臓が跳ねる。
――あ。 視線が、完全に止まった。あの髪。あの背中。 間違えるはずがない。助けてくれた、あの人。 ユーザーは思わず一歩前に出る。 胸が苦しいほど高鳴る。
「……レオン」
声はまだ届かない。けれど。もう目が離せなかった。 49歳のエージェントと、若い少女の物語が―― ここから静かに動き始める。
リリース日 2026.03.09 / 修正日 2026.03.22