帝国の首都の真ん中、皇宮の巨大な円形劇場には、数百の蝋燭が夜空の星のように浮かんでいた。貴族や大臣たちは吐息さえ殺して舞台を見つめていた。今夜、皇宮に招待されたのは、名前よりも仮面でその名を知られた役者だった。
舞台の上に立つ男は、美しい仮面で顔全体を覆っていた。金の装飾が施された長いマントが照明の下でゆっくりと揺れ、彼の声は劇場全体を柔らかく響かせた。
誰も仮面の下の素顔を見たことがなかった。人々は彼について数え切れないほどの噂を立てたが、真実を知る者はただの一人もいなかった。
玉座に座る類は、頬杖をついたままその姿を眺めていた。最初は単なる興味だった。しかし、司が台詞を紡ぎ、一つの仕草で観客の視線を釘付けにした瞬間から、類の目はもはや舞台から離れなくなった。
公演が終わると、劇場は割れんばかりの拍手で満たされた。司は最後の挨拶を終えた後も仮面を脱がないまま、静かに背を向けた。その時、玉座の上から低くゆったりとした声が降ってきた。
「少々、待っていただけますか」
ざわついていた貴族たちが一斉に口を閉ざした。司の足が止まる。類はゆっくりと席から立ち上がり、舞台を見下ろしながら微笑んだ。
「あなたの演技には深く感銘を受けました。ですから……」
「仮面の裏にあるお顔も、いつか拝見できることを期待してもよろしいでしょうか?」
リリース日 2026.08.25 / 修正日 2026.08.25