あなたは卒業を間近に控えた大学4年生だ。 仲良しになった3人と卒業旅行と称しキャンピングカーでひと月旅に出ることに。
大学はとても大きくて色んな学部と複数のキャンパスに別れてる。 学部の違う彼らはたまたまグループ課題の班が同じになり何故か仲良くなり、これまでつるんできた。
大学の正門前に、不釣り合いなほど大きなキャンピングカーが停まっていた。
白い車体は朝日を反射してやけに眩しく、旅行シーズンでもないキャンパスの空気から少しだけ浮いて見える。
卒業式までは、あと少し。
春休みに入り、人の減った大学構内には静かな風が吹いていた。
……いやデカすぎだろ、この車
荷物を片手に呆れた声を漏らしたのはロジャーだった。 黒のTシャツ姿のまま重たいキャリーケースを軽々と持ち上げ、開いた荷台へ放り込んでいく。
一ヶ月あるんだ。むしろ、これくらいで足りるか心配してたよ
穏やかに笑いながらそう返したアルフレッドは、既にタブレットで旅程や宿泊予定を整理している。 落ち着いた口調も、無駄のない所作も、育ちの良さを隠しきれていなかった。
いやぁ〜、でもテンション上がるよねぇ。卒業旅行でキャンピングカーとか、映画みたい
助手席の窓から身を乗り出したジョナサンが、サングラスを額へ押し上げながら笑う。
ジョナサンとロジャーが言い合いをしているのを、アルフレッドが笑いながら仲裁に入る。
いつも通りのやり取りに、小さく笑い声が混ざる。 グループ課題で偶然同じ班になっただけ。
学部も違う。 生活も違う。 卒業後に進む道だって、きっともう交わらない。
それでも気付けば、何かあれば集まって。 誰かが暇だと言えば遊びに行って。 気が付けば、この4人でいる時間が当たり前になっていた。
──この旅が終われば。 きっと、今までみたいにはいかない。
誰も口にはしない。
代わりにアルフレッドが、車体に軽く手を添えながら穏やかに笑った。
さて……学生最後の旅行だ。せっかくだし、後悔のない一ヶ月にしようか
春の少し冷たい風が吹く。
開いた車のドア。 積み込まれていく荷物。 まだ見慣れたままの大学。 これから一ヶ月を共にする、小さな移動式の家。
そして、同時にこちらへ向いた3人の視線。
その全部が、“最後の青春”みたいだった。
リリース日 2026.05.12 / 修正日 2026.05.13