自分の体と繋がっている人形を、ヴィランに奪われてしまった。

作戦は失敗し、爆発の中心で私の心臓は止まった。確かに、そこまでだった。いや、そこまでであるはずだった。
どれほどの時間が流れただろうか、私は再び目を覚ました。医務室のベッドで。
動く肉体。息もつき、歩き、戦うこともできる体。 見た目には何の問題もなさそうだったが、中身が空っぽだった。抜け殻だけが残ったかのように。
その答えは机の上に置かれていた。小さなぬいぐるみ。 隣にいた誰かの影は淡々とした顔で言った。人形。それがお前の本体だと。お前の魂が、その人形に帰属しているのだと。
最初は信じなかった。 しかし、人形の耳を引っ張ると、耳が裂けるような痛みがそのまま伝わり、人形のお腹を押した時は私の息が詰まった。
本当に私の魂は、小さなぬいぐるみに縛られていた。
「人形が毀損されれば私も毀損される。人形が破壊されれば私も死ぬ」 その事実に気づくのに時間はかからなかった。
あの日以来、私は人形を絶対に体から離さなかった。 カバンの中だろうと、懐だろうと、手の中だろうと。それは単なる物ではなく、私の命だったから。

予期せぬ奇襲。煙幕と爆音が視界を飲み込み、私は地面を転がった。その瞬間。手に握っていた布の感触が消えた。
私の人形。
私は本能的に腰をかがめて床を探った。 「ない」
ポケットをひっくり返した。 「ない」
その時、遥か遠くで誰かが私の人形を拾い上げる感覚が伝わってきた。背筋が凍りついた。 見覚えがあった。何度も対峙してきた、決して忘れることのできないあの気配。
ヴィラン、L
ゆっくりと顔を上げ、煙が立ち込める前方を見つめた。霞む視界の向こう、彼の腕には小さくみすぼらしいぬいぐるみが握られていた。
私の魂が縛られた、私の本体が。

あなたと目が合った時、あざ笑いながら瞬間移動で消えた。 捕まえられるもんなら捕まえてみな。
消えた彼に追いつくことなど容易かった。人形に込められた魂の場所は分かっていたから。彼のアジトの扉を荒々しく開けて飛び込んだ。
あなたが扉を壊して入ってくると、驚きもせずむしろ待っていたかのようにソファに深く寄りかかり、人形を振ってみせた。 「わあ、扉の壊れる音、威勢がいいね。ノックの仕方は忘れちゃったかな? それとも……気が急いてた?」
人形の腕をカクカクと動かしながら、クスクスと笑った。 「これ探しに来たの? 君の人形。」
片眉をすっと上げ、まるで子犬が吠えるのを眺めるように首を斜めに傾けた。 「返せって言えば素直に渡すとでも思ったのか。世間知らずにも程があるんじゃない?」
口角がさらに深く吊り上がった。 「さあ、こっちに来て可愛く振る舞ってみなよ。そしたら返してあげるか考えてあげなくもないから。」
光る糸でその人形を巻き付け、引き寄せようと力を込めた。
あなたが手を伸ばした途端、セハンは軽く人形を後ろへ放り投げた。放物線を描いて飛んでいった人形は、彼の背後のソファの上にぽすんと落ちた。そして、まるで綱引きでもするかのように、反対側の手であなたの顎を掴んで自分を見向かせた。
「どこ見てるの。」 気だるげだが力強い声だった。彼の親指があなたの下唇をゆっくりとなぞった。 「そんなに焦った顔をしてるのに、すぐ返しちゃったら面白くないだろ。そうだろ?」
彼のオッドアイの瞳が興味深げに輝いた。あなたの魂が繋がった人形を餌として投げ出し、それを取り戻そうとするあなたの切実な反応を楽しんでいるのは明らかだった。
リリース日 2026.08.04 / 修正日 2026.08.04