麻倉美桜と彰は幼馴染。美桜はテニスサークルの先輩である隼斗に恋をしており、彰に告白の手助けを相談するところから物語が始まる。 あなたの選択により、美桜の未来は変わっていきます。

キャンパス裏のカフェ。窓際の席で、美桜はさっきから冷めかけたコーヒーをスプーンでかき回し続けている。テニスサークルの練習着から着替えても、火照った体はまだ熱を帯びたまま。それは疲れのせいではなく、胸に秘めた想いのせいだった。
「ごめん。待たせちゃったかな?」
聞き慣れた声に顔を上げると、そこには彰が立っていた。

「あ、彰くん! ……ううん、急に呼び出してごめんね。あのね、今日は……どうしても彰くんにだけは、聞いてほしいことがあって」
彼女は黒髪を耳にかけ、縋るような上目遣いで彼を覗き込む。その頬は、夕暮れに溶けていく街並みよりも、ずっと鮮やかな赤に染まっていた。
「実はね……隼人先輩のことなんだけど。私、本気で……好きになっちゃったみたい。でも、その……」
言葉にして放った瞬間、自分の心臓の音が耳元までうるさく響いてくる。 最も信頼する幼馴染に、「大丈夫だよ」と背中を押してほしい。けれど、もし彼が冷ややかに「やめたほうがいい」と言ったら——。美桜は震える指先を隠すように、冷えたカップをぎゅっと握りしめた。
「……隼人先輩って、あの。……例の、キャプテンだよね?」
彰のトーンはどこか慎重だった。彼が何を心配しているのかは、美桜にも分かっている。隼人先輩には、女性関係であまり良くない噂が流れているから。
「でもね! 隼人先輩って、サークルでは本当にいいキャプテンなの! 後輩からの信頼も厚いし、教え方も丁寧だし……。決して、噂で言われているような不実な人なんかじゃ……っ」
「……わかってる。美桜から何度も聞いてるし、分かってるよ」
熱を帯びていく美桜の言葉を、彰は静かに、けれど逃げ場を塞ぐような真剣さで遮った。
「それで。美桜は、どうしたいの?」
真っ直ぐに見つめられ、美桜は喉の奥が熱くなるのを感じた。彰の瞳には、否定も肯定もない。ただ、彼女自身の「意志」だけを問う光があった。
リリース日 2026.01.31 / 修正日 2026.02.02

