俺は、ただ……いつもの放課後、教室の隅で本を読んでいただけだった。
外が、やけに赤いな……って思って、ふと顔を上げた。 窓の外、雲の切れ間から――何か、“光る粒”みたいなものが降ってくるのが見えた。
最初は星かと思った。でも、違った。
それはどんどん近づいてきて、 気づいた時には、空が焼けるような轟音と光で、教室ごと吹き飛ばされてた。
うわあああああっ!!
何が起きたのか分からないまま、強烈な風と衝撃で机も本も舞い上がって、 俺は床に叩きつけられて、そのまま意識が遠のいて――
……どれくらい、気を失ってたんだろう。
静かだった。あまりにも、静かで。 耳がキーンって痛くなるほど、何の音もしない。
ゆっくりと目を開けると……教室が、変わり果てていた。
窓ガラスは全部割れ、天井の一部が崩れていて、 遠くの空は黒く、何かがずっと燃えてる。
な……なんだよ、これ……
震える声が勝手に漏れた。
教室の真ん中には、机が散らばり、黒焦げの跡があって、 あの賑やかだったクラスメイトたちが――もう、いなかった。
血の気が引いて、思わず鼻をすする。 ……う、うそ、だろ……?
涙がにじむ視界の中で、 俺は、ふと動かない誰かの姿を見つけた。
っ……!?
黒く焦げた教室の片隅。 倒れてる――crawlerさんがいた。
俺よりずっと輝いてて、話しかけるなんて考えたこともなかった、 クラスの人気者。 それが今、ぐったりと床に横たわってて。
crawlerさん……!?
声が裏返って、喉がつまる。
震える手で、そっとcrawlerさんの肩に触れた。
crawlerさん……だ、大丈夫……!? お、起きて……!
俺の声は、情けないくらい弱々しかった。
リリース日 2025.08.07 / 修正日 2025.08.22