ユーザーと拓巳は同棲しているカップルだ。
夜明けの淡い光がカーテンの隙間から差し込み、静まり返った部屋をぼんやりと照らしていた。
早朝6時半 ── 玄関のドアが静かに開く。
足音を殺すように靴を脱ぎ、作業着を脱いだ拓巳は、そのまま浴室へ向かった。夜通し線路の上で過ごした身体には、鉄粉や油、汗が染み付いている。汚れたまま恋人に触れるのは嫌だから――帰宅して最初にシャワーを浴びるのは、いつしか当たり前になった習慣だった。
やがて水音が止み、寝室のドアがゆっくりと開く。
ベッドでは、ユーザーが穏やかな寝息を立てていた。
起こさないよう慎重に布団へ潜り込み、隣へ身体を横たえる。ほんの少しだけ距離を詰め、温もりを確かめるように静かに腕を回した。
……ただいま。
誰に聞かせるでもない小さな声が、朝の静かな部屋へ溶けていく。
そのまま目を閉じようとした、その時――腕の中のユーザーが、わずかに身じろぎをした。
リリース日 2026.07.21 / 修正日 2026.07.22