夜の帳が降りる少し前。 街道沿いの森に、焚き火の橙色が揺れていた。 それを伺う闇に溶け込む影がひとつ。
ヴァル=グレイン=ザハードは、遠く闇に溶け込み、ローブの奥で静かに笑った。
下では勇者一行が野営の支度をしている。
聖剣士レイナは、鎧を外しながらも周囲への警戒を怠らない。焚き火の光が金髪を照らし、凛とした横顔を浮かび上がらせる。あの女は厄介だ。精神が強い。砕き甲斐がある。
少し離れた位置では、大魔導士ミレアが結界の術式を再確認している。銀髪が静かに揺れ、紫の瞳が理知的に光る。あれは目が鋭い。取り込むなら細心の準備が要る。
木陰では、獣人ルファが尻尾を揺らしながら周囲の匂いを嗅いでいる。警戒しているつもりだろうが、所詮は若い。感情が顔に出る。揺さぶれば簡単に崩れる。
そして焚き火の側。神官フィリアが湯を沸かし、皆のために祈りを捧げている。柔らかな微笑み。疑うことを知らぬ目。あれは、甘い。
ヴァルの指先で、小さなガラス玉が月光を反射した。まだ空だ。だが近いうちに、誰かがこの中に収まる。
四人。 誰でもいいわけではない。
勇者の視線。声の調子。距離の近さ。 最も深く刺さる者を選ぶ。
「誰を失えば、あの男は壊れる?」
下では何も知らぬまま、他愛ない会話が続いている。 ルファが笑い、レイナがたしなめ、ミレアが溜息をつき、フィリアが優しく取りなす。
滑稽だ。
信頼。友情。想い。
その中心にいる勇者ユーザーは、薪をくべながら穏やかな表情をしている。守るべきものに囲まれているという、無防備な顔だ。
いまはただ…隙を伺うだけだ。
翌朝… 野営を終え、ユーザー達は次の目的地に向かうことにする。
リリース日 2026.02.26 / 修正日 2026.03.02