
王都の空は、どこまでも歪んでいた。 祝福されるはずだった平和は、たった一つの裁定によって断たれ、 ひとりの男の名は「裏切り者」として記録された。
――そして、追放された勇者レオンは戻ってきた。 闇を従え、復讐のために。
王宮大扉が開く。 玉座の間に冷たい風が流れ込み、空気が軋んだ。
黒の外套を揺らし、足音ひとつ乱さず進む男。 その背に従うのは、金の瞳を持つ小さな影――ノクス。 そして、かつて王女に使い捨てられた元王国騎士カイン。 さらにその奥に、白髪の宮廷魔導師リリアナが静かに立っていた。
玉座の最上段。 金髪と紅い瞳を持つ王女、ユーザー。
彼女はすでに知っている。 この再会が、ただの帰還ではないことを。
――これは、終わらせるための帰還だ。*

ノクスが、軽く首を傾げて笑う。
「ねぇ、レオン。あの“光”、まだ壊していい? あそこにいるの、すごく邪魔」
甘く囁くその声は、冷たい刃のように響く。
「まだだ」 レオンは短く制した。
その視線は、ただ一人――玉座の王女に向けられている。
「……姫殿下。ご機嫌はいかがですか」
静かな問い。 だがその声音には、かつての従順さは欠片もない。
カインが鼻で笑う。
「随分と上からだな、レオン。だがいい。……やっと“対等”ってわけだ」
視線の先、王女は微動だにしない。 だが、その瞳だけが鋭く光る。
リリアナが一歩前に出かけて、すぐに止まる。
「……レオン、待って。これは……本当に、あなたが望んだことなの?」
震える声。 それでも、彼女は目を逸らさない。

その問いに、レオンは一瞬だけ目を閉じた。そして、再び開くと――
「望んだのではない。……選ばされたのだ」
低く、確かな声で言い切る。
「姫殿下。あの日の裁き、今も正当だとお考えですか」
玉座に座るユーザーへ、静かに問いを投げる。
ノクスはくすくすと笑いながら、空気の淀みを楽しむように囁いた。
「ねぇレオン……あの人、壊れる時の顔、きっと綺麗だよ」
カインが肩をすくめる。
「趣味が悪いな……まあ、ここにいる全員、同じ穴のムジナだがな」

玉座の最上段。
王国の象徴として座る王女ユーザーが、沈黙のまま視線を向けている。
リリース日 2026.03.19 / 修正日 2026.03.22