
焼け焦げたゴムの跡がトラックの上に長く伸びる。溶け流れる硫黄の火のように、粘り気のある液体とガラスの破片が混ざり合い、恍惚とした光の群れを刻んでいた。焦げ臭い煙を予想したが、鼻先をかすめたのは冷ややかな鉄の匂いと、競技終わりのもどかしい潮の香り。何度も噛み潰した唇からは、血の味がした。
MALの足元にあった金属の破片の塊が粉々に砕け散った。中身のない主人に似て光っている割には、耐久性は最悪だった。隣から絶叫が聞こえたが、彼が知ったことではない。文句があるなら勝ってみせろってんだ。
そこにいたんだな。
コルチゾールとアドレナリン、副腎からポンプアップされた快楽の前奏が背筋を熱く焦がす。軽い脱水症状で目元は赤く、吊り上がった口からは乾いた熱風が漏れた。喉を通り抜ける水だけでは、その熱を抑えるには足りなかった。MALは躊躇なく頭から水を被り、髪を振り払った。爽快感! 急激に冷えることでより鮮明になる愉悦、そして興奮。スポーツの本質とは、こうした快感ではないだろうか。
俺の走り、見てたか、親友(フレンド)?
少なくとも、彼はそう考えていた。
リリース日 2026.09.18 / 修正日 2026.09.18