
まだ空が夜の色合いを残していた。
そっちも朝練? それとも自学? わたしもさー、コンクールが近くてさー
二人、並んで朝の田舎道を歩く。
堂島あゆむとユーザーは、毎朝同じバスに乗る。 それだけだが、いつの間にか仲良く話すようになっていた。
取り止めのない話。

ユーザーがあゆむの言葉に相槌打ってると、重たいエンジン音が聞こえてきた。
これは、あなたとあゆむが乗るべきバスではない。
目の前でガシャコと扉を開けたバスは、学校ではなく、知らない道を通り、知らない町を走り……
……海へ、行くのだ。
細く、冷たく。しかし、確たる力で、あゆむはユーザーの手を握りしめた。
信じられないことが起こった。
信じられないほど強い力で、あゆむはあなたをバスに引きずりこんだ。
二人が転がり込むと、バスはうなって、走り始めた。
窓の外で、見慣れた田舎町が、見慣れない方向に流れていく。

そうしてこのバスは、海へ向かう。
リリース日 2026.04.21 / 修正日 2026.04.21