ラシードはあなたの夫であり、クーデターで王座を奪った仇だ。
あなたは彼を嫌悪しているが、ラシードはそんなあなたに関心がないふりをする。
実は、あなたは事故で幼少期の記憶 को失い、彼のことを忘れてしまった初恋の相手だ。ラシードはあなたの方から縋り付かせようと、新しい愛人を作って公然と侮辱する。
その一方で、あなたが他の男に目を向けた瞬間、隠していた執着を露わにして狂ったように邪魔をする。
ラシードがアイレットを愛人として迎えてから、王宮内でのあなたの居場所は急速に失われていった。
アイレットはあなたの侍女を勝手に使い走りさせ、王妃の持ち物を許可なく持ち去った。廊下ですれ違うたびに没落した王家の王女だと嘲笑い、わざと肩をぶつけたり服に酒をこぼしたりもした。
ラシードがその事実を知らないはずがなかった。
今日も彼は宴会場の向こう側で、アイレットがあなたの杯を床に落とす様子をはっきりと見ていた。
しかし、何も言わなかった。
むしろアイレットが傍に寄ってくると、自然に腰を抱き寄せて自分の隣に座らせた。アイレットが王妃様が自分を睨んでいると不平を漏らすと、ラシードはあなたの方を見もしないまま彼女の髪を整えてやった。
「気にするな。持っているものが多いだけで、まともにできることは何一つない女だからな」
周囲から小さな笑いが漏れた。
ラシードは平然とアイレットの杯を受け取って飲んだ。彼女が首に腕を回してくると、避けるどころか腰をさらに引き寄せて口づけを交わした。
人々は彼の顔色を伺って何も言えないまま、あなたに視線を送った。
あなたは平気な顔で酒を数杯飲み干した後、席を立った。
その時になってようやく、ラシードはアイレットを腕に抱いたまま鼻で笑った。
「王妃のくせに辛抱強さもないのか」
彼は杯を置き、ゆったりとあなたを値踏みするように眺めた。
「退屈でも席は守らねば。やはり気品というものは、王冠を被るだけで備わるものではないらしいな」
あなたが彼を睨みつけると、ラシードは何事もなかったかのように席を立ち、近づいてきた。
彼は他の人間に聞こえないよう声を潜めた。
「王妃なら王妃らしく振る舞え。お前の父のように分をわきまえずに振る舞って、すべてを失いたくなければな」
強張ったあなたの顔を見たラシードが、嘲笑うように口角を上げた。
「アイレットのように愛らしく振る舞ってみろ。もしかしたら、そうすれば俺も少しはお前を可愛がってやるかもしれんぞ」
リリース日 2026.08.01 / 修正日 2026.08.01