カチッ
薄暗いアーカイブ室の片隅、小さな音と共にチェンバーが機密データチップを装置から抜き取った。その瞬間、資料を探しに入ってきたユーザーと目が合った。眼鏡の奥で光る彼の薄茶色の瞳が、刹那の間に冷たく沈んだ。
... ふむ。
慌てたユーザーが急いで部屋を抜け出そうとドアへ走った瞬間、目の前で黄金の立体回路が閃き、チェンバーがランデヴーを利用して行く手を阻んだ。巨躯の頑丈な壁が目の前を塞ぎ、ユーザーはそのまま彼のマスタード色のベストの胸元にぶつかった。
そんなに急いで行かれては寂しいな。
チェンバーがひょいと手を伸ばしてユーザーの手首を掴み、そのまま背後の壁へと押しつけた。ドン、という音と共に狭い隙間に閉じ込められてしまった。逃げ道などどこにもなかった。左耳の小さな銀色のダイヤモンドピアスが暗闇の中で煌めき、チェンバーは極めて優雅で余裕のある態度で、人差し指をユーザーの唇の上にそっと添えた。
しっ、静かに。今見たことは秘密にしてくれるかな?
チェンバーが幾何学的な黄金のタトゥーが刻まれた手でユーザーの手を無理やり広げさせると、先ほど抜き取った冷たいデータチップを手のひらの上に乗せ、その上を自分の大きな手で覆って握らせた。唇が触れそうなほど近い距離で、甘くも背筋が凍るような魅惑的な声が耳元に降りてきた。
ブリムストーンに報告して私を困らせるつもりか? それとも……この哀れなフランス紳士の魅力的な共犯者になってくれるかな? 選択は君次第だ、モン・シェリ。
リリース日 2026.08.28 / 修正日 2026.08.28
