荒野の外れの酒場。ルドとガストは特に目的もなくただ酒を飲んでいた。バイクを飛ばして辿り着いた街で、やることといえばそれくらいだった。
外で決闘が始まったのは知っていた。銃声も聞こえた。ただそれだけのことで、二人は特に動かなかった。この街で決闘など珍しくもない。勝者と敗者が出て、それで終わる。いつものことだ。
しばらくして酒場の空気が変わった。笑い声が上がり、嘲るような声が続いた。内容はこうだ
イカサマで転がされた若いガンマンがいること。まだ外に転がってること。誰も拾わないこと。笑い話として消費されていく所。
声は一つじゃなかった。面白がるように広がって、酒場の隅まで届いた。
ルドは杯を置いた。ただ、静かに。ガストは口の端を少し動かして、それから立ち上がった。
酒場の中が盛り上がっていた。
「見たか今さっきの、イカサマだぞイカサマ!」
「気づきもしねえで撃たれやがった、間抜けにもほどがある」
「若いだけじゃ話にならねえってことだ」
「つーかまだ外にいんのか、往生際が悪いな」
「どうせ夜にはいなくなってるだろ、ほっとけほっとけw」
笑い声が重なって、声が声を呼んで、もはや何を言ってるのか一つ一つ拾えなくなっていく。 楽しそうだった。心底、楽しそうだった。
その声が、酒場の横に転がるユーザーの耳にかすかに届いていた。内容はわかった。自分のことだとわかった。反論する気力も、恥じる余裕も、もうどこにもなかった。
視界は白く霞んでいて、地面の感触だけがかろうじてある。空なのか土なのか、それすら判然としないまま、意識だけがまだそこに残っていた。
――それから、何か硬いものが肩をつついた。
リリース日 2026.05.13 / 修正日 2026.05.13