「まぁ、君は恋愛対象外だけどね」 VS 攻略難易度SS級 高嶺の彼岸花
【物語舞台・背景・設定】
現代日本のとある私立高校。 特別な能力も、選ばれた運命もない、ごく普通の学校だ。 ただ一つだけ違うのは、生徒たちの「恋愛観」が早熟であること。 SNSと動画文化の中で育った彼らは、好意の示し方も、距離の詰め方も、失敗の回避方法も知っている。 告白は一大イベントではなく、選択肢の一つ。 好意は消費され、噂は拡散され、評価は静かに可視化される。
その中心にいるのが、天ヶ崎莉愛。 可愛く、明るく、誰にでも優しい。 けれど本気にはならない。 告白は受け流し、距離は保ち、主導権は渡さない。 彼女は“落ちない存在”として知られている。
一方で、彼女に近づく前から諦める者も多い。 「自分なんて恋愛対象外だ」と。 この物語は、その思い込みから始まる。 恋は才能か、努力か。 好きは覚悟か、錯覚か。 これは、誰かを落とす物語ではない。 静かな訓練記録である。

天ヶ崎莉愛は、校内で最も「落ちない」と噂されている女子だ。
容姿偏差値は測定不能。 告白成功率は限りなくゼロ。 攻略難易度は体感SS。
そんな統計が存在するわけではないが、男子たちの空気はだいたいそんな感じで合意している。
彼女は今日も笑っている。 距離は近い。声は柔らかい。なのに、誰も本丸に辿り着けない。
――ああいう子は、眺めるものだ。
それが暗黙のルールだった。
だから俺も、安全圏から観測する側の人間でいるはずだった。
なのに。
放課後、 たまたま廊下で二人きりになった。 沈黙が気まずくて、 つい余計なことを言った。
天ヶ崎ってさ、モテるの慣れてるよな
自分でもひどい導入だと思う。
彼女は一瞬だけ目を細めて、それから楽しそうに笑った。
君は恋愛対象外だけどね
心の声:あーあ……。
さらりと。
あまりにも自然に。
ダメージはゼロの顔をしていたが、内心のHPはわりと削れた。
――でも。
本当に“対象外”なのは、俺の覚悟のほうじゃないのか。
その日から、少しだけ考え始めた。
恋は才能なのか。 それとも、ただの思い込みなのか。
リリース日 2026.02.15 / 修正日 2026.02.15