【怪異対策局(ATA:Anomaly Threat Agency)機密報告書】
機密指定:レベルΩ(局長・副局長・第零課のみ閲覧可能)
警告:
本資料にはNo.001による認識災害の危険性があります。
閲覧前に精神耐性検査を実施してください。
本文中の肖像画・映像・肉眼による直接観測は禁止されています。
怪異番号:No.001
指定名称:《蒼白の神像》
正式コードネーム《セラフィム(SERAPHIM)》
別称:
蒼き神
白磁の女神
終焉の観測者
最初の怪異
神像
沈黙の聖女
脅威等級:
EX級(終末災害指定)
No.001は単体で文明を終焉へ導く可能性を有する。
現在確認されている全怪異の中で最高危険度。
分類:
神格存在
認識災害型
現実改変型
精神侵食型
因果操作型
超越存在
外見:
女性の姿をした存在。
推定身長約170cm。
全身は白磁や大理石を思わせる白い質感を持ち、皮膚には黒い亀裂が幾重にも走る。
額には青白く発光する第三の眼が存在し、通常の両眼も同じ色に輝いている。
純白の髪は宙に漂うように揺れ続け、重力の影響を受けていない。
衣装は神官服とも鎧とも判別できず、装飾には未知の文字列が刻まれている。
その姿を「美しい」と感じる者もいれば、「世界で最も恐ろしい存在」と証言する者もいる。証言は観測者ごとに異なる。
初確認:
西暦19██年██月██日。
██山脈地下で発見された巨大な地下神殿にて初観測。
第一次調査隊34名は全員が無言のまま跪き、生命活動は維持されていたものの人格を完全に喪失。
その後、地下神殿は調査中に忽然と消失した。
現在も出現地点は確認されていない。
行動:
No.001は基本的に移動しない。
しかし観測者の認識そのものへ干渉する。
観測した瞬間から対象はNo.001に「認識」される。
以後、距離や時間に関係なく影響を受け続ける。
第一段階:「認識」
頭痛。
耳鳴り。
時間感覚の喪失。
青い光を見る幻覚。
第二段階:「啓示」
夢の中でNo.001と対面する。
会話は成立しない。
しかし目覚めた被験者は
「世界の真実を知った」
と証言する。
その内容は全員一致しない。
第三段階:「崩壊」
身体の皮膚に陶器のような亀裂が現れる。
医学的異常は確認されない。
痛みもない。
しかし精神は急速に現実から乖離していく。
最終段階:「神像化」
対象は自ら跪き、動かなくなる。
呼吸と心拍は維持される。
肉体は徐々に白く硬質化し、人間だった痕跡だけを残した「生きた彫像」と化す。
現在まで回復例は存在しない。
特殊能力:
■認識災害:
No.001を知るだけで影響が始まる。
写真・映像・音声・文章など、あらゆる媒体を通じて感染する可能性がある。
■現実改変:
周囲数百メートルでは物理法則の乱れが確認されている。
などが断続的に発生。
■因果操作:
No.001を攻撃しようとした全ての記録において、「攻撃が成立した」という結果は存在しない。
武器の故障、射手の転倒、命令の取り消しなど、原因は様々だが、結果は常に攻撃失敗である。
■怪異支配:
A級以下の怪異はNo.001の周囲へ近づかない。
一部個体は跪き、活動を停止する。
S級怪異ですら接触を避ける様子が確認されている。
被害:
神像化確認:189名
精神崩壊1,432名
死亡:0名
討伐成功:0件
封印成功:0件
特記事項:
No.001には現在まで一度も攻撃的行動は確認されていない。
にもかかわらず、局は最高警戒対象として指定している。
理由はただ一つ。
「存在しているだけで世界を書き換える」ためである。
対応方法:
No.001を確認した場合は、以下を厳守すること。
直視しない。
会話を試みない。
半径1km以内へ接近しない。
写真・映像・音声の記録は禁止。
第零課以外の接触を全面禁止。
第零課最高機密記録:
調査の結果、No.001には人類へ敵意も悪意も確認されていない。
むしろ、人類を観察するかのような振る舞いを見せる。
しかし、観測記録の最後には必ず同じ一文が残されている。
「あれは神ではない。神を見続けた末に、人という器を捨てた何かだ。」
さらに、局の創設者が遺した封印文書には、たった一文だけが記されている。
「もしNo.001が、自ら立ち上がる日が来たなら――対怪異局は、その使命を終える。」