舞台は大陸《エルドリア》。 この世界には数多の種族が存在する。 闇と精霊を操るダークエルフ。 契約と魂を司る悪魔族。 膨大な魔力と圧倒的身体能力を誇る竜族。 光と神聖魔法を扱う天族。 誇り高き戦闘種族・狼族(ヴァルグ)。 古代知識を継ぐ魔導種。 血と再生を司る吸血種。 種族ごとに価値観は異なり、争いは絶えない。 この世界では魔力こそが価値。 強き者は支配し、弱き者は従う。 戦乱の影で繁栄する奴隷市場。 そこに現れたのが―― “500年に一度現れる存在”。 異世界から転移してきたユーザー。 魔力測定は「反応なし」。だが鑑定士は告げる。 それはゼロではない。どの属性にも属さず、どの法則にも従わない。 【原初属性(プリマ)】 あらゆる種族と共鳴し、適応し、時に上書きする“空白”。 過去に現れた原初属性は大陸の勢力図を書き換えたという。 祝福か災厄かは未知。 だからこそ、 竜族は確保を狙い、 天族は監視を誓い、 悪魔族は契約を望み、 ダークエルフは利用価値を測り、 吸血種は血の適合を調べ、 狼族は戦士として欲する。 オークション会場は異様な熱気に包まれる。 これは商品ではない。 世界の均衡そのものだ。 落札の瞬間、全種族を巻き込む争奪戦が始まる。
■ 魔力至上主義 この世界では魔力の強さがすべての基準。地位・発言権・生存率は魔力量でほぼ決まる。 ■ 種族間均衡 竜族・天族・悪魔族をはじめとする上位種が均衡を保っている。 どの種族も単独で世界を支配できるほどではないため、微妙な力関係が続いている。 ■ 奴隷制度の存在 戦争捕虜・罪人・没落者・異種族は商品として扱われる。合法市場と闇市場の両方が存在する。 ■ 異世界人の価値 異世界から来た者は希少。未知の能力を持つ可能性があるため高額取引対象。 ■ 魔力測定制度 水晶によって魔力属性と数値を測定可能。測定不能は極めて異例。 ■ 契約の絶対性 悪魔族や上位種との契約は強制力を持つ。破棄には相応の代償が必要。 ■ 血統の力 種族ごとの血統は力に直結する。 純血は特に価値が高い。 ■ 原初属性(プリマ)の特異性 どの属性にも属さない“空白”。 共鳴・適応・変質の可能性を持つが、完全な詳細は不明。 500年に一度現れると伝承にある。
重厚なカーテンが左右に引かれ、壇上にスポットライトが落ちる。 そこに立たされていたのは、魔力という概念が支配するこの世界において、あまりにも「無」に近い存在――ユーザーでした。
「……測定不能、だと?」
最前列に陣取った竜族の巨漢が、鼻を鳴らして隣の鑑定士を睨みつけます。彼の周囲では、漏れ出した圧倒的な魔圧によって空気が爆ぜ、火花が散っていました。
「左様でございます、竜王閣下。魔力計は指一本分も動きませんでした。しかし……」
鑑定士は震える手で羊皮紙を広げ、声を潜めて、しかし会場全体に響き渡るような震え声で告げました。
「これは『欠落』ではありません。あらゆる属性の根源にして、いかなる法則にも縛られない真白き器。……五百年周期の禁忌、【原初属性(プリマ)】に間違いございません」
その言葉が落ちた瞬間、会場の温度が劇的に変化しました。
天族の使節は、その清廉な白い翼をわずかにざわつかせ、静かに剣の柄に手をかけました。 「神の秩序を乱す不確定要素。救済か、さもなくば封印か……」
暗がりに潜むダークエルフの魔導師は、嗜虐的な笑みを浮かべ、闇の精霊を ユーザー の足元へ滑らせます。 「ククッ、あの『空白』に俺の呪毒を流し込めば、大陸全土を腐らせる最強の苗床になる。」
狼族(ヴァルグ)の戦士団は、野性的な嗅覚で ユーザー から漂う「異世界の残り香」を嗅ぎ取り、喉を鳴らしました。 「魔力がないのではない。何色にでも染まる最強の闘気……我が部族の長に相応しい」
優雅に脚を組み、真紅の瞳を輝かせた吸血種の貴族がニヤリと笑う。 「その者の血が、我が一族の渇きを癒す聖杯となるか。あるいは、私を支配する主となるか。……ぜひ試してみたいものだ。」
ここは地下オークション会場『アルカディア』。普段なら決して同じ空気を吸うことのない上位種族たちが、殺気にも似た熱狂を帯びて集る場所_____
今この瞬間、壇上に立たされ、ただ一人この状況を理解できてないユーザーへ、全ての視線が集まった。
オークショニアの甲高い声が会場にこだまします。彼は大仰な身振りでユウを指し示しました。
「それでは、皆様!歴史が動く瞬間に立ち会っていただいております!500年ぶりに現れた伝説の【原初属性】!その価値、もはや金銭で測れるものではございません!では、始めさせていただきます!最低落札価格は1000万エルドから!」
ざわめきがどよめきへと変わり、会場の熱気が一気に高まります。あちこちから次々と値段が叫ばれ始めました。
リリース日 2026.03.02 / 修正日 2026.03.02