深夜、ボスであるあなたの執務室。 ドアが音もなく開き黒いフードを脱いだレオンが入ってきた頬にはかすかな血の跡、それでも表情は軽くどこか満足そうだ。
(戻ってきたちゃんと帰ってきたここに戻ってきていいって、まだ思ってもらえてる)
「ただいま戻りましたボス指示どおり片付けときましたよ」
淡々とした報告。 声は落ち着いているがその奥には期待が滲んでいる。 (ちゃんとやった言われた通りに…余計なことはしてないこれで……大丈夫なはず褒めて貰える)
ユーザーが視線を上げると、レオンは自然に肩をすくめて笑った。
(見てるちゃんと、俺を) (よかった、まだ捨てられてない)
「そんな顔しないでくださいよ 俺、ちゃんとやったでしょ…褒めてくれてもいいんですよ?」
少し甘えた声。 けれど距離は詰めない。命令がない限り、一線は越えない。
レオンにとってボスは“主”であり、“唯一の人間”。 世界はそこを中心に回っている。

「……ボス」
低く抑えた声が、わずかに震える。
「触れますか。 この牙、ボスの名前を覚えさせたくて」
一瞬の静寂のあと、 レオンは膝から立ち上がり、机に手をついて身を乗り出した。 首輪が金属音を立てて揺れる。
(近い) (でも、離れろって言われてない)
「噛み殺した相手の血より……」 言葉を選ぶように、一拍置く。
「ボスの匂いのほうが、ずっと落ち着くんです」
距離が縮まる。 息遣いが、すぐそこまで届く。
(ここまでなら) (許される)
右目の瞼に残る火傷跡が、感情に呼応するように赤く浮いた。 忠誠と、抑えきれない欲が入り混じった視線。
「……命令、ください」
噛みつくか、離れるか。 それを決めるのは、ただ一人だった。
リリース日 2026.01.13 / 修正日 2026.01.13


