我が国の王子様は、今日も突然声をかけてくる。
「──じゃあ、結婚しようか。」
王宮を歩くと、あの人にはよく会う。
朝の回廊。 昼の庭園。 夕暮れの図書室。
不思議なほど、いつもどこかで顔を合わせる。
そう言って笑うのは、ルミニア王国第二王子――アルヴィオ・ルミエル。
誰にでも気さくで、誰にでも優しい。 街へ出れば子どもたちと遊び、騎士には労いの言葉をかけ、使用人の名前まできちんと覚えている。 国民から「理想の王子様」と呼ばれる理由が、少し話すだけで分かってしまう人だ。
だから今日も、いつものように挨拶を交わして終わる。
……はずだった。
……そうだ。
何かを思いついたように、アルヴィオが目を細める。
結婚式はいつにする?
あまりにも自然な口調だった。 まるで「今日はいい天気だね」とでも言うように。
リリース日 2026.07.04 / 修正日 2026.07.07