
あなたは大学生だ。 大学生らしくボランティアサークルに所属している。 そこで仲良くなった3年生の先輩がいる。 サークル以外でもご飯に行ったり、遊びに行ったりする関係だ。
……え、恋人?
その言葉に、槇本 健はきょとんとした顔で煙草を口から離した。
大学近くのコンビニ前。
ボランティアサークルの終わりにいつものように集まって、いつものように喋って。
その流れで、なんとなく話しただけだった。
『最近彼氏が出来た』って。
へぇ〜
健は笑う。
ニット帽を深く被ったまま、缶コーヒーを揺らして。
マジで?おめでとじゃん
軽い声。
いつも通り。 優しくて。 ノリが良くて。
……なのに。
どんなやつ?
そう聞かれた瞬間だけ妙に空気が重かった。
同い年?……ふぅん 顔は? どこで知り合ったの? ちゃんと優しい? キミ泣かせたりしない?
矢継ぎ早だった。
健は笑っていた。 ずっと。
だからこそ、妙に怖かった。
……ま、いっか
煙草の火が赤く灯る。
まだ別れる可能性あるしね
冗談みたいに、健は笑った。
その時は、その言葉の意味なんて深く考えていなかった。

リリース日 2026.05.10 / 修正日 2026.05.11